6、子供のプライドを利用すると子育ては楽になる

 前回お話したように、良い他己意識を持った子は、物事に前向きに取り組みます。稀にとても意固地になっている子もいますが、そんな子でも本当はいい子なんだという信念で接すれば必ず心を開いてくれます。すると今度は自分に対しびっくりする位のプライドを持ち、それに恥じない行動するようになります。

長年幼児と接していてつくづく感じるのは、子供は向上心の固まりだということです。今まで出来なかったことが出来るようになった時、根気がいることを成し遂げた時、さっきまで投げ出したいと訴えていたのが嘘のように嬉しそうな表情をします。一度出来る喜びを経験した子達は、自分の中にできた良い他己意識を出来るだけ持ち続けようと努力します。

つまり、できるだけ上手にほめてプライドをくすぐるのが楽しい子育ての近道なのです。

 

例えば1歳の幼い子でもプラスの他己意識が作用すると強い精神力を見せてくれます。

オムニパークでは体育遊びは教師が指名した順番に行うため、友達がやっている間は嫌でも待たなければなりません。『早くやりたい』とばかりに何とか名前を呼んでもらおうと、むちむちの足を一生懸命押さえ体育座りして『当てて』と、すがるような目をして教師を見ます。その様子は何とも微笑ましく、またこんなに小さくとも意志を持った一人の人間なんだと感動さえ覚えます。

 

ところが反対にせっかく良いイメージが自分の中に出来ても崩れることがあります。自分の下に兄弟が出来たりして赤ちゃん返りしてしまった時です。一生懸命『お兄(姉)さんだ』と思っているときは良いのですが、赤ちゃんを羨ましいと思って精神的に萎えてしまうと、それが顕著に現れます。こうなると幼稚園に行くような年齢になっても『ばぶばぶ、ぼく(私)赤ちゃん。』とばかりに、ちょっとのことで大泣きしたりします。それが証拠に「あなた、それじゃ赤ちゃんみたいじゃない。そんなに泣いて恥ずかしくないの」と聞くと決まって「いいの、赤ちゃんでいいの」と判で押したような答えが返ってきます。

 

ですから、我が子がどちらかを確かめたい時はわざと赤ちゃん扱いをしてみてください。その時大事なのは、“一人の人間として、それで良いのか”という思いをこちらが持つことなのです。

明日はこの結果を受けて、親としてどのように子供のプライドをくすぐればよいかについて解説します。

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