4、1歳児でも自立できる

日本の子供の多くは“おこちゃま”という外国には見られない特別な時期を過ごします。その時期は例え幼児に責任があっても「ごめんなさい。ママが気がつかなくて」と、全て大人が責任を取ってくれます。

外国のドラマでは1、2歳児に「君はどう思うの」などというシーンをよく見かけますが、外国ではこのように幼い時から人格を持った一人の人間として扱い、同時に行動に責任を持たせてもいます。

体が大きくなれば、同時に心も成長すると思うのは錯覚です。行動に責任を持つという行為は、体験の中から身に付いていくものです。幼い頃から子供なりに持つべき責任を持たせ、一人前の人間としての自覚を促す必要があるのです。そうした事から私は外国の考え方が正しいと思います。

 

おこちゃま意識がある子がぐずると、母親は手を変え品を変えご機嫌をとります。しかし子供は「悪いのはみんな母親のせい」とばかりに大暴れして収拾が付きません。

これに対し、一人前に扱われ、問題が起きてもじっくり諭され納得した体験を積み重ねて自立した子は、精神的に安定していて、母親をあまり煩わせません。

私の教室の1歳児は1学期の終わり頃になると、手を膝に置いて話を聞いたり、自分の食べた食器を片づけたりが出来るようになります。そんな時の彼らは『赤ちゃんじゃない』という自信に満ち溢れています。

聞き分けの良い子には、いらいらのない生活が保証されています。それは子供にとっても親にとっても幸せなことです。幼児を一人の人間として対等にコンセンサスをとった親子関係を作れば、このような互いに安定した生活をする事が出来るのです。

 

その為には、互いの意思疎通が出来るように言葉を身に付けさせる事が第一です。そしてそれと共に大人は言う事に一貫性を持たせ、都合で変えたり、言う事とさせる事が異なるような事をしないことが重要です。

病院の待合室で「走っちゃ駄目よ」と言いながらも好き勝手に走らせている母親。いつもは大声で怒鳴るくせに、来客時やお呼ばれの時には絶対に叱らない母親など悪い例を挙げればきりがありませんが、そんな親ほど「うちの子、私の言う事をちっとも聞かないの」なんてぼやいています。

 相手が幼児だからこそ、言葉を大切にし、言った事を守る事が大切です。そして、幼児にも同様に言葉の重要性を知らせ、守らせる事です。そうすれば例え1歳児でも自立できるのです。

 

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